【要約】

  • (1)アメリカに留学していっぱい勉強&喧嘩したよ!
  • (2)ケネディ兄弟を筆頭にいろんな人に会ったよ!
  • (3)卒業後カラテ講師→オイルマンを経て作家になったよ!
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【所感】

国際ジャーナリストの落合信彦氏の自伝ノンフィクション。
落合氏は多数の著作を世に出していますが、個人的に一番好きなのがこの著作です。

落合氏のアメリカ留学が1960年代初頭で、その頃の夢と希望に満ちた、
かつ破天荒なアメリカの空気が良く伝わってきます。
特に落合氏が出会ったという数々の「いろんな人」の話が面白いです。
本当にこんな人間がいる(いた)のか、というのが多数。
つくづく自分の知っている世界と視野がまだまだ狭い事を実感。

しかし自伝を3行で要約するという暴挙をしでかした結果、
その面白さが全然伝わらなくなってしまったので、
本文中の印象深い文言をいくつか紹介してみます。

印象深い文言の数々

ゴッド・イズ・ラヴ(神とは愛です)。その愛はあなたの魂の中にあり、私の魂の中にもあります。それがわれわれを結ぶ絆なのです』(p41より引用)
落合氏がアメリカ留学前に日本で会った米国人牧師、ハワード・ブレア―氏の言葉。
極貧生活の中でアメリカ留学を夢見て必死に勉強していた、
当時の落合氏の心にずいぶん響いた、との事。
四魂(*1)でいえば「智隠れ愛」の愛辺りを諸に刺激されたのでしょうか。

個人的にキリスト教を信仰するつもりはないですが、
散々世界史を騒がせてきた「神」の何たるかを考える上で
心に留めておきたいおきたいセリフと思いました。

スィンク・アンド・フィール・ウィズ・ゼム(彼らと共に考え感じる)』(p124より引用)
氏が留学先でディベートを行った際に犯した失敗からの教訓。
ディベートで大事なのは相手を言い負かす事ではなく、聴衆を共感させること。
それがいかに大事かは、今の自称民進党がどんなに努力しても
国民の支持を得るに至ってない事
からも自明だと思います。

ちなみにニクソンとケネディの大統領選のディベートでも
ニクソンが前者、ケネディが後者に注力したことが、
後々の大統領選挙の結果に影響したらしいです。

ちなみに私の本職のシステムエンジニアでも、
ディベートの他、技術的なプレゼンは多いです。
そして技術的な細部の説明に走って、聴衆たる顧客を置いてけぼりにする、という失敗談も後絶たず…。
そうならないよう思い出しておきたい言葉です。

あなたの主義主張とやらには心から反対するし、軽蔑もしている。しかし、同時にあなたがそれを言う権利を私は命をかけても守る』(p181より引用)
かつてアメリカにヒットラーのナチスの主義主張を復活させんとした、
リンカーン・ロックウェル(*2)なる人物がいました。
この人物が黒人やユダヤ人に対し、今でいう「ヘイト・スピーチ」をしでかして
投獄された時、弁護を買って出たのは何とユダヤ人の弁護士。
見事無罪判決を勝ち取ったこの弁護士が、ロックウェルに対して言ったのが上記のセリフ。

ちなみにこの直前、ロックウェルはこの弁護士に対し
あんたには世話になったが(中略)あんたがガス室に送られることを望んでる
とか宣ってました。それに対する返答が上記。人格の差パネェ

ただ、今の日本で同じことを言っても、
最初の1行でそれ自体差別だのヘイトだの言う輩が出てきそうで怖い。
まあ言われても曲げる事はないと思いますが。

食生活に関しても、二人は対照的だった。アンガスは完全な肉食主義者で、肉以外は一切口にしない。一方のスピ―シャンは、徹底した菜食主義を貫いていた。二人は食堂でいつも同じテーブルについた。アンガスがスピ―シャンの肉をとり、スピ―シャンがアンガスのサラダを食べる。互いが二人分食べられるわけである。』(p209より引用)
アンガス、スピ―シャンというのは、落合氏の学生仲間で、
本書の登場人物の中でも屈指の変人です。
その存在感は落合氏が敬愛するケネディ兄弟を遥かに凌駕します。

「食生活に関して”も”」とあるように、
この2人は大学寮のルームメイトでありながら何から何まで対照的で、
傍から見ると犬猿の仲に見えたとの事ですが、
上記の引用に見えるように、自分と相手の差をきちんと認識し、
互いに自分を曲げないながらも相手を尊重し合っていた事が伺えます。
パンはどうしたのかとか聞いてはいけない

普通に生きていても自分と異なる意見、考え方の人に出会う事はいくらでもある事。
そういう時に思い出したいエピソードです。
相手の事を度外視して自分の主義主張を押し付けるのは論外ですが、
逆に相手を尊重しすぎて自分の主義主張を押し殺すのも不健全で長くは持ちません。
そこでバランスが重要になる訳ですが、まさに言うは易し行うは難し…。

【リンク】

落合信彦(1991) アメリカよ!あめりかよ! 集英社出版

【注釈】

(*1)…「勇」「智」「愛」「親」の4パターンで人の性格を診断する、心理学の一種。

(*2)…同じファーストネームだからと言って、間違ってもアブラハム・リンカーンと混同してはいけない